たったひとりのワールドカップ―三浦知良、1700日の闘い (幻冬舎文庫)
たったひとりのワールドカップ―三浦知良、1700日の闘い (幻冬舎文庫)
日本代表のことを全日本と呼ぶ世代としてはほろ苦い読後感 - ☆
「狂気の左サイドバック」で21世紀国際ノンフィクション大賞を受賞した著者による三浦カズのドキュメンタリー。
「ドーハの悲劇」から仏W杯本大会まで、日本サッカーの<顔>として活躍しながらも最終的にW杯メンバー22名の選に漏れたカズの足跡を、当人へのインタビューを軸にフォローしている。
W杯終了からほどなくして出版されており、雑誌記事がベースとはいえ、極めて短期間の編集でまとめられた本である。  そのためか、前半部分の記述は個々のインタビューの時間的な間隔が長く、そのギャップを著者のコメントで埋めて処理した結果、少々<はしょった>印象を受ける。  一方、後半部分(仏W杯予選から本大会)はさすがに密度が高く、本書の価値はそこにあるといって良い。
仏W杯日本代表モノのノンフィクションといえば、「決戦前夜」をはじめとする金子達仁の一連の著書や増島みどりの「6月の軌跡」があげられるが、前者は中田英、川口等<新世代>に軸足を置き、後者は<全関係者からの証言>をうたいつつ結局カズのコメントが取れぬままに書き終えられている。  つまりカズ(およびそれに連なるドーハ世代)の側からの仏W杯を追った著作は本書をおいて他にはない(たぶん?)。  先のW杯を俯瞰的に振りかえるためには、やはり本書のような視点は不可欠である。
文中カズのコメントをみていると、<ああ、このヒトはW杯への出場を、ホントに待ち焦がれつつ生きてきたんだなぁ>と痛感する。
そしてそんなカズのW杯への<恋慕の情>は新世代の選手たちとっては、なんともうっとうしいというか、もしかしたら滑稽にすら感じられたんだろうなぁ。
カズ同様、日本代表のことを全日本(ゼンニホン)と呼ぶ世代の一人として、ほろ苦い読後感を味わった僕でありました。
語り残したこと - ☆
 1994-98年にカズに行ったインタビューをまとめたもの。
 当時、『Number』などの雑誌に掲載された、そのままの内容であり、あのころの熱気や臨場感が伝わってくる。特にカズのイタリア移籍前後の記事は興味深い。
 全体としては、ドーハの悲劇から、1998年フランスW杯本大会直前にカズがメンバーを外されるまでが扱われている。インタビューを通じて、そのときどきのカズの心の内が伝わってくる。ブラジルでの成功による自負心、98年時点でのまだまだやれるという意気込み。
 しかし、本としての完成度は低い。状況説明がほとんどされないから、いまの読者にはついていけない部分が少なくない。当時の読者には自明のことでも、本にまとめる際にはきちんとフォローして欲しかった。また、とびとびに掲載された記事であるため、話題が連続していない。何があっのかと、どうしてこうなったのか、という部分がわかりにくい。
努力が実らないという残酷さ。 - ☆
本書の優れているところは、
カズの発言が、原型を大切にして長く引用されている点、
また、著者がカズと適切に距離を取り、
安易に礼賛するのでなく、時に批判も交えている点だと思います。

「ドーハの悲劇」からフランスW杯出場に至るまでは、
私をはじめ多くの素人がサッカーに興味を向け始めた時期かと思います。
その時期、本書に記された様々なことを考えながら努力し続けたカズが、
結局W杯に出場できずに今に至っているということは、
我々に努力が報われないこともあるという切ない現実を突きつけると同時に、
それでも夢をあきらめずに努力し続ける素晴らしさを教えてくれます。

キング・カズーは永遠に - ☆
 「今頃『カズ』でもないだろう?」という諸兄姉よ、カズこそ現代の日本サッカー界隆盛の源を築いた男である。まさにKingの冠に相応しい。不運にも2度もW杯に手が届かなかったが、もし彼がいなかったら、発足直後のJリーグはあんなに注目されただろうか?その彼を支えていたのは、「W杯出場」という悲願である。本書は、彼のインタヴューと著者の描写で構成されている。カズを「悲劇のヒーロー」と描いていない点がすがすがしい。特に、カズのインタヴューは傾聴に値する。
 まだ読んでいない読者には、カズが現役のうちに読むことをお勧めする。
カズ〜ッ! - ☆
絶対にミーハー本だと思って敬遠していた一冊。ところがどっこい、真摯な内容だ。カズのプロ精神が伝わってくる。サッカー、いやプロのスポーツプレイヤーはかくあるべきと思わされた。
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